TRESは1ソファメーカーから、東京・青山に直営店を出す事で大きなステータスを獲得し、本格的にブランド化を果たした。これまで地元石川では路面店を出したり、工場を拡大したりと着々と成長を遂げてきたが、やはり東京進出はまたステージを一つ上げる事になるだろう。
立地としても非常に面白い。新店舗の本隣にはイタリアの一流ブランドが構えている。ここに「made in JAPAN」ブランドで挑むかの様に、一階と地下一階の2フロアを堂々と展開する。白い壁とガラスの外観は印象的で、サインは少々控えめ。エントランスを入ると壁一面に張地サンプルが展示され、ソファを自分の好きな様に選べるワクワク感が掻き立てられる。
店内で一番大きなソファや、新作の家具や布地サンプルを最初に見て、スタッフカウンターを横目に人気モデルのソファがリズム感良く並べられている。店内にはメーカー製のほぼ全てのモデルが置いてあり、座り比べや布地合わせが楽しい。
一階の一番奥には全ての張地サンプルが、洋服の様に整然と陳列され、手に取りやすくそれぞれを比較しやすく、布地選びの楽しさが倍増する。サンプルの一部はクッションカバーにも仕立てられ、ソファに張り込んだ時の風合い、発色・陰影の出方、肌触りも確かめられる。まさにソファテイラーといったところだろうか。
地下への階段を降りる途中からは、色々なシーンに分かれた展示が見えてくる。ここには私も初めて見るモデル、初めて座るモデルが沢山展示されていて楽しかった。
私は以前からの付き合いもあり、ここの責任者の方に招待頂いたので、スタッフの対応やクロージングを体験する事は無かったが、実際に来店される客人は「ソファコンシェルジュ」のもてなしを受け、自分にぴったりのソファに出逢うことになるのだろう。
まだブランディングは道半ば、知名度はまだ低いかも知れない。
もちろん某有名ブランドのソファにはたくさんの魅力が有り、その存在感には物欲を刺激する力が漲っている。確かな素材で、堅牢な作りと飽きの来ない普遍的なデザイン、しっかりとしたアフターフォローシステムが備わっていれば、ソファ作りに特化したノーブランドの商品でも、それを使う人のステータスに成り得るのではないか。